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特集 June.29, 2020
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著作権法修正案草案の内容に関する紹介

 

2020年4月27日に、著作権法第三次改正が正式に始動し、修正案草案が4月26日に第13期全国人民代表大会常務委員会第17回会議に上程された。

今回の著作権法修正案草案において、注目すべき変更には撮影著作物の保護期間の延長、職務実演およびメディアが職務上作成する著作物の権利の帰属に関する規則、著作権の濫用に対する責任、行政機関の取締り時の調査と行政強制に関する権限、過料金額の明確化、民事賠償における懲罰的損害賠償の増設および法定賠償上限金額の引上げ(~500万元)、ならびに民事訴訟における権利侵害者の帳簿資料証拠に対する提供義務が含まれる。

 

一.権利内容および保護期間の変更

1.撮影著作物の保護期間の延長

撮影著作物の保護期間は最初に公表されてから50年とされていたが、その他の著作物と統一され、公民の著作物は生涯および死後50年、法人および非法人組織の著作物は最初に公表されてから50年に修正された。(修正案草案第13条、旧法第21条第3項)

この新規定には遡及効はなく、修正案が発効する前に保護期間がすでに満了した撮影著作物には適用されない。(修正案草案第31条、新法第62条)

また、その他美術著作物と関係がある具体的な規定においても、撮影著作物は並列とされた。例えば、美術、撮影著作物の原本の展示権は原本の所有者が享有する。(修正案草案第12条、法第18条第1項)

2.実演の録音録画製品の貸与は実演家の許諾を必要とする

実演の録音録画製品は、従来は複製、発行のみについて実演家の許諾が必要であったが、新規定では貸与も必要とする。(修正案草案第16条、旧法第38条第1項第5号、新法第37条第1項第5号)

3.許諾を必要としない録音製品を放送する主体の拡大

著作権者の許諾を必要とせず録音製品を放送する(ただし報酬を支払う必要がある)ことができる主体は、今後はラジオ局、テレビ局のみとしない。(修正案第19、29条、旧法第44条、新法第43条)

4.放送組織の独占権の拡大

客体の「ラジオ、テレビ」番組が「番組伝送信号」に拡大され、また「情報ネットワークを通じて」伝達する手段が追加された。(修正案第19条、法第45条第1項)

5.その他権利内容に関する細部の修正

(1)貸与権の客体には「原本及び複製物」を含む。(法第10条第1項第7号、旧法第47条、新法第51条)

(2)放送権の定義において、公開伝送方式が「無線」から「有線又は無線」に修正された。(法第10条第1項第11号)

(3)情報ネットワーク伝播権の定義において、「その個人が選定する時間及び場所」が「選定する時間及び場所」に修正された。

(修正案草案第7、25条)

 

二.権利の帰属に関する規則の変更

1.メディア組織の職務著作物の権利は組織に帰属する

メディア組織(新聞社、出版社、通信社、ラジオ局、テレビ局および傘下のメディア)の職員の職務著作物の著作権(氏名表示権を除く)はメディア組織が享有し、今後は、著作権は作者が享有することを黙認するが「法律、行政法規の規定又は契約の取決めがある」ときは、雇用組織に帰属することを可能としている原第2項第2号(新第3号)の職務著作物に属しない。(修正案草案第11条、法第16条第2項)

2.美術、撮影著作物の原本の譲渡が公表権に及ぼす影響

未公表の美術、撮影著作物の原本が譲渡された後は、譲受人による原本の展示は公表権を侵害しない。(修正案草案第12条、新法第18条第2項)

3.職務実演に関する規定の新設

一般的な組織の職務著作物の帰属および組織の無償使用に関する規則と類似する。演出組織の演者の実演家の権利は、取決めがなくまたは取決めが不明確であるときは演出組織が享有し、演者が享有する場合には、演出組織は業務内において無償で使用することができる。(修正案草案第17条、新法第38条)

4.共同著作物の著作権の単独行使

共同著作者の間で協議が調わない場合は、単独の共同著作者は譲渡、許諾、質権設定以外のその他の権利を自ら行使することができ、收益はその他の共同著作者に適正に分配する。(修正案草案第9条、法第13条第1項)

 

三.法的責任の変更

1.著作権の濫用に対する責任の増設

著作権を濫用し、著作物の正常な伝播に影響を及ぼしてはならない旨の規定が追加された。(修正案草案第3条、法第4条)

著作権の濫用に対する行政責任として、是正命令、警告、違法所得の没収、過料(改正後の著作権の侵害に対する行政責任の過料範囲と同じ)が追加された。(修正案草案第24条、新法第50条)

2.著作権の侵害に対する行政責任の変更

過料の計算方式が追加された。違法経営額が5万元以上である場合は、1~5倍の過料を科し、違法経営額がなく、計算が困難であり、5万元に満たない場合には、25万元以下の過料を科すことができる。(修正案草案第26条、旧法第48条、新法第52条)

3.民事責任の賠償範囲

(1)懲罰的損害賠償:故意の権利侵害であるときは懲罰的損害賠償を科し、算出した賠償結果の1~5倍とする。

(2)法定賠償金額:500万元以下とする。

(3)合理的支出:賠償金額には権利侵害行為を制止するために支払った合理的支出を含む。

(修正案第27条、旧法第49条、新法第52条)

4.保護措置を回避または破壊する公正使用事由の追加

保護措置を回避または破壊することができる事由(ただし他人による回避または破壊を幇助してはならない):授業?科学研究、失読症者への提供、国家機関の公務、コンピュータ?ネットワークのセキュリティ性能試験、暗号化の研究またはソフトウェアのリバースエンジニアリングの研究。(修正案第22条、新法第48条)

 

四.行政法執行と司法に関する規則の変更

1.権利侵害者の財務資料証拠の提供義務

訴訟において、権利者がすでに力を尽くして立証したときは、法院は被告に権利侵害行為に関する帳簿、資料の提供を要求することができ、権利侵害者が提供せずまたは虚偽の帳簿、資料を提供した場合には、法院は権利者の主張および提供した証拠を参考として賠償金額を確定することができる。(修正案第27条、旧法第49条、新法第53条)

2.行政機関が取締り時に調査を行う権限と差押え?封印を行う行政強制権限

行政機関は取締り時に、当事者への尋問、権利侵害場所に対する現場検査、権利侵害行為に関する契約?領収書?帳簿の閲覧?複製、権利侵害場所および物品に対する差押え?封印をすることができる。(修正案草案第28条、新法第54条)

3.行政処分決定に対する提訴期間に関する規定の削除

従来の3か月の行政処分決定に対する提訴期間が削除され、行政不服審査法および行政訴訟法に基づき、当事者は不服審査(知った日から60日)または提訴(知った日から6か月)を選択することができる。(修正案草案第29条、旧法第56条)

 

五.公正使用および法定使用許諾に関する規則の変更

1.公正使用に関する規則の細部の変更

(1)公正使用に対する制限に「著作物の正常な使用に影響を及ぼしてはならない」が追加され、侵害してはならない著作権者のその他の著作権が「合法的な権益」に修正された。

(2)公正使用の対象となるニュースは、今後は「時事ニュース」に限定されない。

(3)授業、研究のために少量を使用するときは、著作物を放送することができる。

(4)展示著作物に対する「模写、絵画、撮影、録画」は、今後は屋外の展示著作物に限定されない。

(5)著作物の「点字」への変更が「失読症者が感知することができる独特の方式」への変更に修正された。

(修正案草案第14条、法第22条第1項)

2.法定使用許諾に関する規則の細部の変更

(1)「9年制義務教育の教科書」から「9年制」が削除された。

(2)教科書の使用時における、「作者が事前に使用を許諾しない旨を表明している場合を除く」の法定使用許諾に対する制限が削除された。

(3)客体に「図形の著作物」が追加された。

(修正案草案第15条、法第23条第1項)

 

六.行政管理および業界管理の変更

1.地方の行政管理権限の変更

地方の著作権行政管理部門が省級から県級以上の著作権行政管理部門に修正された。

(修正案草案第5条、法第7条)

2.著作権集団管理組織に関する新規定

(1)著作権集団管理組織を「非営利法人」とする旨が規定された。

(2)使用料徴収基準は組織および使用者代表が協議を経て確定するものとし、協議が調わない場合には、裁決を請求しまたは提訴することができる。

(3)組織は使用料および管理費の明細を公表し、権利情報検索システムを構築しなければならない。

(修正案草案第6条、法第6条)

 

七.定義および呼称の修正

1.「公民」が「自然人」に、「その他の組織」が「非法人組織」にそれぞれ修正された。

《民法総則》/《民法典》の呼称に合わせた修正。

(修正案草案第1条、法第2、9、11、16、19、21、22条)

2.「映画著作物及び映画の撮影制作に類する方法により創作された著作物」が「視聴覚著作物」に修正された。

(修正案草案第2条、法第3、10.1.7、10.1.13、15、21.3、46、47.6、47.8、53条)

3.「時事ニュース」が「単純な事実情報」に修正された。

(修正案草案第4条、法第5条第2項)

4.「国務院の著作権行政管理部門」が「国の著作権主管部門」に修正された。

(修正案草案第5条、法第7、26、28条)

5.「映画製作者」が「視聴覚著作物製作者」に修正された。

(修正案草案第10条、法第15、46条)

6.第五章の章名が「著作権及び著作権に関係する権利の保護」に修正された。(修正案草案第20条)

 

八.現行の法令との整合

1.登記手続きを可能とする旨の規定の追加

《著作物任意登録試行弁法》の関連規定との整合性が図られた。(修正案草案第2条、新法第3条第2項)

2.二次的著作物の使用は二次的著作物の著作権者および原著作物の著作権者の許諾を必要とする旨の旧法の規定との整合性が図られた。(修正案草案第8、29条、旧法第35、37.2、40.2条、新法第12条第2項)

3.権利者は技術的保護措置を講じることができ、許諾を得ずに回避または破壊してはならない旨の規定

技術的保護措置の回避または破壊は権利侵害行為に該当する旨の旧法の規定に基づき、権利者の権利が補充された。(修正案草案第21条、新法第47条。旧法第48条、新法第52条第6号を参照)

4.許諾を得ていない著作物上の権利管理情報の改変または削除の禁止および関連の権利侵害の幇助に関する規定

著作物上の権利管理情報の改変または削除は権利侵害行為に該当する旨の旧法の規定に基づき、権利侵害の幇助(権利侵害について知り、または知るべきであったにもかかわらずなお公衆に提供する)に関する規定が補充された。ただし、技術的に回避不能である場合を除く。(修正案第23条、新法第49条。旧法第48条、新法第52条第7号を参照)

5.保護措置を回避または破壊した場合、および権利管理情報を削除または改変した場合の間接侵害が明確にされた。

故意に保護措置の回避または破壊を幇助し(装置、部品、技術サービスの提供)および著作物上の権利管理情報が改変または削除されたことを知り、または知るべきであったにもかかわらずなお公衆に番組伝送信号を提供する行為は権利侵害行為に該当する。(修正案草案第26条、旧法第48条、新法第52条第6、7号)

6.民事訴訟法および契約法上の規則が指導的条項に修正された。

従来の訴訟提起前の保全(財産、行為、証拠)に関する規定および違約責任に関する規定が関連の法律の規定を適用する旨の指導的条項に修正された。(修正案草案第29、30条、旧法第50、51、54条、新法第58条)